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<高蔵寺>
弘仁十年(819)、徳一(とくいち)の開山と伝えられ、治承元年(1777)、聖円の中興といわれる。建武二年(1335)、北畠顕家(きたばたけあきいえ)が国宣を受けて堂宇の大修理を行ったが、永正二年(1505)に家事で本堂ほかほとんどの堂坊を失い、慶長十三年(1608)にはいっさいの寺領を没収され、寺運は衰えた。寺の阿弥陀堂は治承元年(1177)の建立になるもので、たびたびの災厄をまぬかれ、数回に及ぶ小修理を経て今日にいたっている。県内最古の木造建築物とされており、国の重要文化財に指定されている。
堂の規模は、桁行・梁間とも三間、一重、宝形造・茅葺き屋根。貞享四年(1687)と享保十七年(1731)の修築を示す棟札(むなふだ)が二枚残っており、その構造は非常に簡素で、太い円柱が厚い茅葺き屋根と大きな棟を支え、組物は舟肘木(ふなひじき)だけである。内部の天井・虹梁の様子も、平安時代の作風をよくとどめている。
堂内に安置されている本尊の木造阿弥陀如来座像も、国の重要文化財に指定されており、高さ約2.7m、ケヤキ材の奇木造、全身に漆箔(しつぱく)が施されており、平安後期の作と推定されている。寺宝の木造薬師如来座像は、県の文化財に指定されており、高さ1.1m、光背を含めると1.27mの像であり、鎌倉時代の作とみられている。 |
国重文 阿弥陀如来像 |