梵名ハヤグリーバァ。これは「馬の頭を持つ者」の意である。
種子は「カーン」。
真言は「オン アミリトウ ドハンバ ウン パッタ ソワカ」。
観音の変化像であり、六観音あるいは七観音の一つに数えられて
いる。
経典では無量寿仏(阿弥陀)の教令輪身(変身)と説かれるが、
ヒンドゥー教のビシュヌ神の化身の一つが仏教に取り入れられて
観音になったものといわれる。他の観音が慈悲相であるのに対して、
この観音は忿怒の形相に造像されるところから大力持明王・馬頭金剛
明王などとも呼ばれ、八大明王の中にその名が見られる。
その像容は、経軌によって一面二臂(ひじ)像・三面二臂像・三面四臂像・三面八臂像・四面二臂像・四面八臂像などの異なる像が説かれるが、いずれも赤色で忿怒相、三眼で牙があるとされる。頭上に戴く
馬は、転輪聖王の宝馬が四方を駆けて威伏するように、生死の大海を
渡って四魔を承伏する大威力や大精進力を表わし、無明の重障を
食い尽くす意味である。
近年は、労役についた馬を慰労することで、文字塔としての建立数が飛躍的に
延びた。
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