三十三観音霊場巡り 付録
七観音について

七観音について
六観音信仰というものがあります。これは中国の「摩訶止観(まかしかん)」という書物の中で、六道(地獄、餓鬼、畜生、
修羅、人、天)を輪廻しながら苦しんでいる人々を、各界で救って輪廻から抜け出させてくれる六つの観音が設定され
ました。
その六観音が日本にも入って来たのですが、あまり知られていない観音ばかりだったため、流行しませんでした。
その後日本で救済力の強さで信仰を集める有名な観音菩薩による新しい六観音が設定されたのですが、真言宗の
六観音は、聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・准胝観音・如意輪観音であり、天台宗の六観音は、聖観音・
千手観音・馬頭観音・十一面観音・不空羂索観音・如意輪観音で、異にする准胝観音と不空羂索観音を共に入れて
七観音とする信仰が生れました。


真言宗の六観音
   聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・如意輪観音・准胝観音

天台宗の六観音
   聖観音・千手観音・馬頭観音・十一面観音・如意輪観音・不空羂索観音

@ 聖観世音菩薩

梵名アバロキティシュバロ。観世音菩薩、観自在菩薩という。種子(曼陀羅、
法具、法器、卒塔婆などに仏菩薩の像容を表わすかわりに梵字を組み合わせ、定められた象徴文字をいう。)は「サ」。真言(梵語の発音のままの呪文で、特に強い霊力を秘めたものとして、今でも大変に重要視されています。

仏尊の真言は、その仏尊へ直接に繋がるパワーコールですので覚えておくとイザという時に役立つかもしれません。)は「オン アロリキャ ソワカ」です。
十一面・如意輪などの変化観音と区別するために聖観音という。衆生の願いごとを聞くから観世音といい、衆生に何事にも畏れぬ信念と信仰を与えるから施無畏者とも呼ばれる。観音は全ての衆生を救済するため、それに応じるように三十三の姿を現すという。これを三十三応現身という。
七月十日は四万六千日、観音の縁日とされ、東京の浅草寺など今に至るまで非常な賑わいを見せる。なお、観音は弥陀三尊の一つとして阿弥陀如来の左に
侍して慈悲門を司る。その像形は、宝冠に弥陀の化仏を置き、左手に未敷又は
開敷の蓮華を持ち、右手は与願印を結ぶか蓮華に軽く添える形である。蓮華は
慈悲のしるしで、未敷は衆生の本来持っている仏性がまさに開こうとしている
ことを表し、開敷は仏性が開顕して成仏したことを表している。
聖観世音菩薩

A 千手観世音菩薩

千手観世音菩薩


変化観音の一つで種子は「キリーク」。真言は「オン バザラ 
タラマ キリク」。


千本の手、その手に一眼ずつの千眼を持つので千手千眼観自在菩薩
といい、千の慈眼、千の慈手で衆生を済度するので大悲観音という。

多くの場合、合掌手を除き、左右に二十手ずつの四十手像である。
一手で二十五有界の衆生を救うため四十手で千となる。ふつう頭上に
十一面を置く。
安産を願う観音である。


B 十一面観世音菩薩

変化観音の中では最も早く成立した観音菩薩。種子は「キャ」又は「カ」。
真言は「オン マカ キャロニキャ ソワカ」です。

菩薩の十地の修行を完成して第十一地の仏の位に達せさせることを十一面で
表わした。本面と合わせて十一面になるもの、特殊例として九面のものがある。
十一面は、菩薩面三、瞋怒面三、狗牙上出面三、大笑面一、頂上に阿弥陀の
化仏一面である。ふつう二手で、右手に念珠を持ち左手に蓮華を挿した水瓶を
持つ。

その功徳は、諸病をのがれ、財宝を得、敵難・水火難をうけず、虫毒や寒熱を
蒙らず、長生きをすると説く。

十一面観世音菩薩

C 如意輪観世音菩薩

如意輪観世音菩薩


梵名チンターマニチャクラ。チンターマニは「如意宝珠」を、
チャクラは「車輪」を意味する。車輪がどこにでも転がるように、
意のままに現われ、六道の衆生の苦しみを取り去り、利益を与える
菩薩とされる。種子は「キリーク」。

真言は「オン ハダマ シンタマニ ジバラ ウン」。

像容は一面二臂像と六臂像があり、その他にも四臂像・十臂像・
十二臂像が経軌に説かれている。
その姿から「歯痛観音」ともいわれる。


D 准胝観世音菩薩

梵名チュンディーの音写、准提仏母、七倶胝仏母あるいは天人丈夫
観音などとも呼ばれる。種子は「ブ」または「ボ」。

真言は「オン シャレイ シュレイ ジュンティ ソワカ」。
准胝とは、清浄又は妙なるという意味で、観音菩薩の清らかな心を
象徴しています。

像容は三眼十八臂像が通形で、印相と持物は、胸前の二手が説法印、
右の第二手以下は施無畏印・剣・数珠・微若布羅迦菓・手斧・跋折羅・宝鬘、
左の第二手以下は如意宝幢・開蓮華・水瓶・羂索・輪・螺貝。手賢瓶・
経篋をとる。


准胝観世音菩薩

E 馬頭観世音菩薩

馬頭観世音菩薩


梵名ハヤグリーバァ。これは「馬の頭を持つ者」の意である。
種子は「カーン」。

真言
は「オン アミリトウ ドハンバ ウン パッタ ソワカ」。
観音の変化像であり、六観
音あるいは七観音の一つに数えられて
いる。

経典では無量寿仏(阿弥陀)の教令輪身(変身)と説かれるが、
ヒンドゥー教のビシュヌ神の化身の一つが仏教に取り入れられて
観音になったものといわれる。他の観音が慈悲相であるのに対して、
この観音は忿怒の形相に造像されるところから大力持明王・馬頭金剛
明王などとも呼ばれ、八大明王の中にその名が見られる。

その像容は、経軌によって一面二臂(ひじ)像・三面二臂像・三面四臂像・三面八臂像・四面二臂像・四面八臂像などの異なる像が説かれるが、いずれも赤色で忿怒相、三眼で牙があるとされる。頭上に戴く
馬は、転輪聖王の宝馬が四方を駆けて威伏するように、
生死の大海を
渡って四魔を承伏する大威力や大精進力を表わし、無明の重障を
食い尽く
す意味である。
近年は、労役についた馬を慰労することで、文字塔としての建立数が飛躍的に
延びた。


F 不空羂索観音

変化観音の一つで、「ふくうけんさくかんのん」又は「ふくうけんじゃくかんのん」
とも読む。
種子は「モ」又は「ボ」。

真言は「オン アモギャ ビジャヤ ウンハッタ」。

羂索は、鳥や獣を捕える網のことで、不空とはその網が間違いなく捕えること
をいった。

大悲の羂索で一切の衆生を救済し、諸願をかなえる観音である。あらゆる罪を
滅する功徳があるとする。特徴としては、第三の眼(アジナーチャクラ)があり、
鹿皮の衣を着ています。

その像形は、三目八手像のほか異形像が多い。いずれも一つの手に羂索を
持つ。

不空羂索観音



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